1. 電波法の概要と目的

電波法は、無線通信の適正な運用を確保し、電波の利用における混乱や干渉を防ぐことを目的とした法律です。この法律は、無線機器の使用に際して、電波の利用に関するルールを定めています。

ドローンの操縦には、無線通信を用いてドローンと送信機(リモコン)間で信号をやり取りするため、この無線通信の使用に電波法が適用されます。ドローンを飛行させる際には、この電波法に基づいて適正な周波数帯を使用しなければなりません。

2. 無線局免許の必要性

電波法では、無線局(無線機器を含むシステム)を運用するためには、原則として総務省から無線局免許を取得することが義務付けられています。しかし、特定の条件下では免許が不要な「特定小電力無線機器」を使用することも可能です。

  • 免許不要の機器
  • 2.4GHz帯や5.8GHz帯の特定小電力無線機器は、免許を取得せずに使用できます。この周波数帯は、Wi-Fiなどでも使用されている帯域で、一定の条件を満たせば自由に利用可能です。
  • ただし、これらの機器は出力が制限されており、遠距離通信や障害物が多い環境では通信が不安定になる可能性があります。
  • 免許が必要な機器
  • より高出力で長距離通信を行うための無線機器を使用する場合、無線局免許が必要となります。この場合、技術基準適合証明を取得した機器を使用し、総務省へ申請して免許を取得しなければなりません。

3. 電波法違反のリスクと罰則

電波法に違反して無許可の無線機器を使用した場合、電波干渉や通信トラブルが発生する可能性があります。これにより、他の無線通信に影響を与えたり、他者の安全を脅かすことがあるため、厳しい罰則が設けられています。

  • 罰則
  • 無線局免許を取得せずに無線機器を運用した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
  • また、不正に強力な無線を発信するなどして他の通信を妨害した場合には、さらに重い刑罰が適用されることがあります。

4. 技術基準適合証明と技適マーク

日本国内で使用される無線機器は、電波法に基づく技術基準に適合していることを証明する「技術基準適合証明」を取得する必要があります。これにより、機器が適法な周波数帯を使用し、他の機器に干渉を与えないことが確認されます。

  • 技適マーク
  • 技術基準に適合している機器には、「技適マーク」が表示されています。このマークがない機器は、日本国内での使用が認められていないため、海外から輸入したドローンや無線機器を使用する際は、必ずこのマークが付いているか確認する必要があります。

5. ドローンとFPV(First Person View)

FPV(First Person View)とは、ドローンに搭載したカメラからの映像をリアルタイムで見ながら操縦する方法です。このFPVシステムも無線通信を利用するため、電波法の規制対象となります。

  • FPV用の送信機と受信機
  • FPVで使用する送信機や受信機も、技適マークが必要です。特に、5.8GHz帯のFPVシステムは、一般的に使用されることが多いですが、必ず技適マークが付いた機器を使用しましょう。
  • また、出力が高すぎる送信機は、周囲の無線機器に干渉を与えるリスクがあるため、法律で定められた出力制限を守ることが重要です。

6. 海外で購入したドローンや無線機器の使用について

日本国内では、海外で購入した無線機器をそのまま使用することはできません。多くの場合、海外製のドローンや送信機は日本の電波法に適合していない周波数帯や出力を使用していることがあります。

  • 対応策
  • 日本で合法的に使用するためには、該当機器が日本の技術基準に適合しているか確認し、技適マークを取得する必要があります。
  • もし適合していない場合は、対応する無線機器を日本国内で新たに購入するか、技適マークが付いている部品に交換する必要があります。

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